施術とは
施術とはそもそも何か?
いきなりですが、“施術”とは具体的にどういったことをしているものなのかご存知でしょうか?
この記事をご覧の方の中にも、
「施術?なんか色々体を触るんだろうけど…具体的に何を目的としているの?」
という方がおられると思います。
私も施術を習うまでは正直
“何をしてるんだろう”
“なんか怪しいな”
くらいの認識でした。
普通に生活していても施術について知る機会がありませんでしたし、
(私は看護師なのですが)看護師国家試験の過去問をいくら解いても、各科の病院実習に行っても、“施術”に関する知識が登場する機会はありませんでした。
そこで今回は“施術”についてを解説。
“こういった目的のもと、こういったことをしているよ”という点に触れていきます。
なお具体的な技術や手順に関しては、情報漏洩の観点からここで触れるのは差し控えたいと思います。ご了承ください。
施術は“お手伝い”
とにもかくにも、一番伝えておきたい点がこちら。
施術はあくまでお手伝いであり、身体を治すのは本人の身体自身、ということです。
「え?施術って身体を触って、悪いところを治すためじゃないの?」
という認識の方もおられるかと思います。
しかし当院で行う施術は、身体を治す目的で行うものではありません。
治そうとする身体のお手伝い、これこそが施術です。
とはいえ“お手伝い”という言葉が漠然としていてわかりにくいと思いますので、この記事で解説させていただきます。
※なお、そもそも薬機法により医師以外が治療効果をうたう事はできません(:]ミ(:]彡(:]ミ(:] 彡
身体を治すのは身体自身
普段生きていて、身体が元々持つ回復力に着目することは中々ありません。
ピンときやすいところで言うと、例えば風邪や怪我は放っておいても時間経過と共に治ったりしますよね。「打撲や切り傷をするたびに病院へ行っている」ということは中々ないと思います。
もちろん疾患や怪我の中にはその重症度から、単に時間が経つだけでは治らないものもあります。
…が、ここで確認しておきたいのは
“身体は元々、自身を回復・維持・推進する能力を持っている”ということです。
「なるほど、身体を治すのは身体自身なのか!あれ?じゃあ施術って何のためにしてるの?」
「施術に行かなくても身体が勝手に治してくれるなら、別に施術を受ける意味ないよね」
こういった声もあがりそうです。
まさしくその通りで、身体が本来有している機能を十分に使えていれば、施術は必要ありません。
では逆にどういう時に施術が必要になのかというと、この“治す機能”を身体が十分に使えない時ということになります。
そして、この機能を再び働きやすい形に整えるのが、“施術”の目的であり役割です。
とはいえ、「“治す機能”を働きやすくする、なんて回りくどいことはせずに、直接治してくれればよくない?」
といった声も上がりそうです。
そこで今回は、
“治す機能を満足に果たせる身体”と、
“そうでない身体”の違いを、
仕事の例に置き換えて見てみましょう。
ケーススタディ
あなたは仕事でミスをしました。
しかしこのトラブルからどうにか立て直すことができました。
②それまで同じ仕事をこなしてきた経験と効率があるから
③周囲との連携がスムーズに取れ、ヘルプを頼めたから
etc…
対応に必要な機能が十分に働いた結果ミスをリカバリーできた、ということになります。
一方で、こういった状態ではどうでしょう。
疲労で思考能力が落ち、体もクタクタで思うように動かない…
連絡の行き違いで重要な資料の在処もわからない、使っている機器もメンテナンスが十分でない…。
想像するだけで苦しい状況です。
資料を探すところから始まるという効率の悪さ、
使っている機器は頻繁にエラーを起こし、
当の自分は疲労で動きは緩慢、
ミスを立て直すどころか、さらにミスをかさねどんどんと取り返しのつかない事態に陥る可能性さえあります。
本来であれば立て直せるはずのことでさえも満足に出来なくなってしまう…。
トラブルで崩れた仕事を“治すことができる例”と“治すことができない例”を見てみました。
これは“治す機能を満足に果たせる身体”と“満足に果たせない身体”の話にも置き換えることができます。
「身体はこんなに治そうとしているのに、そのための導線が確保されていない…」
ここで出番となるのが“施術”、施術家です。
あれ、でも“施術”は直接治すわけではないんだよね
その通り。
先程も触れましたが、あくまで治すのは本人の身体であり、“施術”はそのお手伝いです。
仮に私が直接トラブルの解決に乗り出すことで、確かにその場はどうにかなるかもしれません。
しかしその後はどうでしょう。
私が対応したのはトラブルのみで環境自体は相変わらず、
これでは、もし再度トラブルが起こった時には同じことの繰り返し…
リカバリーができず、ミスの連鎖を起こす可能性があります。
大事なのは“トラブルへの対処”…
…だけでなく、
なぜトラブルが起こったのかを把握し対処すること、
そしてそのトラブルに対応するための機能の保持です。
本来であれば身体は自力でトラブルに対応できるのに、それができていない…。
ということはつまり、“トラブルが大きい”という可能性以外に、“身体がうまく機能していない”という可能性も考慮すべきなのです。
そして施術によって対応するのがまさしくこの部分。
トラブルに対応するのはあなた(身体)自身、
そして施術は、あなた(身体)が本来の機能を完全に果たせるよう働きかけるためのものなのです。
トラブルに直接対応するのではなく、
トラブルに対応しようとする身体の機能を整える。
まとめ
さて、今回は“施術”について触れていきました。
今回は哲学寄りというか、より概念的なお話になりましたが、
具体的な施術の考え方などは他の記事に掲載しているので、そちらも見ていただければと思います。
この記事を通じて、施術に対する漠然としていた認識が、少しでも納得に近いものになれば幸いです。
おまけ:「病院と施術、どっちを優先すればいいの?」
さて、施術はあくまで身体に働きかけるもので、トラブルに対応するのは身体自身、ということを説明しました。
ここで一つ気になるのが「あれ、じゃあ病院って要らないの?」ということです。
「施術で体を整えれば健康に近づくなら、病院なんて必要ない」…?
施術家&看護師の立場である私から言わせて貰えば、
自分が納得する方に行ったり行かなかったりするのが良いかと思います。
私も必要性を感じた時には病院に行きますし、来院される方にも必要性を感じた場合には受診を勧めます。
施術と病院、それぞれ得意分野が異なるので、自分が必要と感じた方に、その時々で行ったり行かなかったりすることをお勧めします。
これはあくまで私の考え方ですが、“意地”よりも“健康”です。
フィルターをかけることなく、自分が妥当だと思った方に行くのが良いかと思います。
優先順位も皆さんが好きに決めていいし、自分の思う健康の形に繋がると思う方に足を運ぶのが良いでしょう。
コメント